【第1部】金利のある世界へ。インフレと利上げの二重苦から家族の資産を守る「家づくりの鉄則」

2026.01.14

今、日本の住宅市場は歴史的な転換点にあります。

2025年12月、日本銀行は政策金利を0.75%へ引き上げ、中長期的には1.5%〜2.0%という「金利のある世界」を目指す方針を明確にしました。

これまでのような「超低金利」を前提とした家づくりは、もはや通用しません。資材高騰による住宅価格の上昇に加え、ローンの支払利息も増えていくという「二重苦」の時代に、私たちはどう立ち向かうべきでしょうか。

1. 専門家が警鐘を鳴らす「待てば待つほど損をする」3つの客観的理由

「もう少し様子を見て、価格が落ち着いてから……」と考える方も多いでしょう。しかし、現在の経済状況では、その判断がもっとも危険かもしれません。

  • 金利の「1%」は、数百万円の重み: 仮に4,000万円を35年ローンで借りる場合、金利が1%上昇するだけで、総返済額は約800万円近く跳ね上がります。これは、家一軒分のグレードを劇的に変えられるほどの金額です。
  • 「建築コスト」に下落の兆しなし: 世界的なインフレに加え、国内の人手不足による労務費の上昇は止まりません。かつて1,500万円で建った家が、今や2,000万円を超えるのが当たり前になっています。待っている間に増える貯金よりも、物件価格の上昇スピードの方が早いのが現実です。
  • 健康と年齢という「無形のタイムリミット」: 住宅ローンは、若ければ若いほど「団体信用生命保険」の選択肢が広がり、長期の返済計画が立てやすくなります。決断を先延ばしにすることは、金融機関からの信用という「個人の資産」を削っていることと同じです。

 

2. 政策金利と住宅ローンの密接な関係:固定か、変動か?

「政策金利が上がるとローンが上がる」とは聞くものの、実は変動金利固定金利では、金利が決まる仕組みが全く異なります。

  • 変動金利:日銀の「今」の判断に連動(短期プライムレート) 政策金利(短期金利)の影響をダイレクトに受けます。日銀が0.75%、さらに1.5%と引き上げる流れは、そのまま変動金利の基準上昇に直結します。
    • メリット: 固定金利に比べてスタートの金利が圧倒的に低く、元金の減りが早い。
    • デメリット: 返済途中で未払利息が発生するリスクや、5年ルール・125%ルールによる「返済額は変わらないが元金が減らない」という罠が潜む。
  • 固定金利:投資家の「未来」の予測に連動(10年物国債利回り) 日銀の発表よりも先に、市場のインフレ期待や将来の金利予測で動きます。政策金利が上がる「前」からすでに上昇し始めているのが特徴です。
    • メリット: 完済までの返済額が確定し、家計の管理が非常に楽。精神的な安心感が最大。
    • デメリット: 変動に比べて当初の金利が高く、もし将来金利が上がらなければ「払い損」になる可能性がある。

 

3. インフレ時代こそ「家」は最強の防御策になる

現金(預貯金)だけを持っていると、インフレによってその価値はどんどん目減りします。しかし、「不動産」という現物資産を持つことは、物価上昇に対する強力なヘッジ(回避策)になります。

大切なのは、「いくらで買えるか」という目先の数字ではなく、「いつ、どのような条件で資産を確定させるか」というスピード感です。上昇気流が始まった今こそ、冷静かつ迅速な一歩が、10年後の家族の家計に数百万、数千万の差を生むことになります。

 

現金1,000万円を持っていても、物の値段が2倍になれば、その現金の価値は半分になります。しかし、4,000万円で買った「家」の価値がインフレで5,000万円になれば、あなたの資産は目減りするどころか増えたことになります。

特に、今の関西圏(大阪・兵庫・京都など)の住宅価格高騰と金利上昇をふまえ、「いくらで借り、月々いくら払うことになるのか」をマトリクスで可視化しました。

【関西圏:新築住宅価格別】月々の返済額シミュレーション

※35年返済・元利均等・ボーナス払いなし

※関西圏の平均的な新築一戸建て(約4,000万円〜5,000万円)を想定

ローン借入額 超低金利時代 (0.5%) 2025年末予測 (1.0%) 金利のある世界 (2.0%) 1.5%上昇時の差額
4,000万円 103,835円 112,961円 132,505円 +28,670円
4,500万円 116,815円 127,082円 149,068円 +32,253円
5,000万円 129,794円 141,202円 165,631円 +35,837円

 

住宅FPの視点:金利がわずか1.5%上がるだけで、月々の支払いは約3万円増えます。これは年間で36万円。35年間に換算すると、なんと約1,260万円のコスト増です。

「あと1年頭金を貯める」努力をしても、年間36万円以上のスピードで返済額が増えてしまえば、待つメリットはゼロになります。

 

まとめ:決断を「資産」に変えるために

第一部で見てきた通り、私たちは今「安くなるのを待つ」という選択肢がもっともハイリスクな時代にいます。

  1. 金利上昇はすでに始まっている: 変動金利もついに上昇フェーズへ。
  2. インフレヘッジとしての家: 現金を持つより、早く「現物資産」に替えることが家計を守る。
  3. スピードがコスト: 検討期間が1ヶ月延びるごとに、数万円単位の損をしている可能性がある。

「少しでも安く、でも後悔したくない」という想いは誰しも同じです。だからこそ、次に考えるべきは、予算を抑えられる「建売」にするのか、理想を追求する「注文住宅」にするのかという「納得解の出し方」です。

続く第2部では、このコストアップ時代に賢く選択肢を絞り込み、最高のマイホームを手に入れるための「具体的な比較・検討術」を徹底解説します。

[ 第2部:『建売 vs 注文』今この時代に選ぶべきはどっち?へ続く]

 

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